2024年冬CCS特集:POLYMERIZE

MIサービス事業を拡大、AI画像解析など新機能も

 2024.12.03−シンガポールを本社とするPOLYMERIZE(ポリマライズ)は、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)を専門とするスタートアップとしてグローバルに事業を展開しているが、アジアに対しては昨年5月に日本法人を設立したのに続き、今年になって中国と韓国にも子会社を置き、事業体制を拡充した。日本法人は拡大を見越してオフィスを移転しており、来年頭に材料科学とデータ科学のスキルを合わせ持つ技術者を採用し、日本語での技術対応を強化する。来年は日本で10人の増員を計画している。グローバルでは、2025年に200社の導入を見込んでいる。

 同社が提供中の製品には、MIのための人工知能(AI)管理プラットフォームとしてフルに機能を備えた「Polymerize Labs」と、実験データの管理に特化した「Polymerize Connect」の2つがある。まずは実験データ管理からスモールスタートし、データが揃ってきた段階でAI/機械学習を活用した本格的なMIにステップアップするなど、段階的な導入が可能。

 単にツールを提供するだけでなく、材料開発やデータ科学の専門家によるデータ処理からモデリング、予測に至るまで、MI活用を伴走的にサポートすることを主軸としている。とくに同社独自のAIエンジンは、30種以上のアルゴリズムを使用して事前定義した9種のモデルを搭載しており、目標特性ごとに最適なモデルを自動選択。少ないデータ数でも高い予測精度を実現しており、多段階プロセスや原料データを最大限活用して、予測精度の向上だけでなく、より深いレベルでのAI相関解析を行って知識や洞察を得ることを目的としている。

 同社の技術力はグローバルでも高く評価されており、今年10月に日本法人が参加したドバイでのスタートアップイベント「GITEX Expand North Star」では、ピッチ大会のファイナリストに残り、存在感を示したという。日本貿易振興機構(ジェトロ)が組織したジャパンパビリオンに出展したもの。日本では、三洋貿易が今年3月に代理店となり、共同で市場開発を進めている。同社は8月にはシンガポール本社に出資もしている。

 一方、システムの機能強化としては、AI画像解析機能がオプションとしてリリースされた。走査電子顕微鏡(SEM)画像などを解析する機能で、従来の画像解析で手作業で1時間かかったオペレーションが1分に短縮できたという。画像内の物質のサイズや分布などを特徴量として抽出し、レポーティングできる。また、波形グラフを学習モデルにする機能や、SMILES表記された分子構造を扱う機能も標準搭載されている。クラウドベースであるため、製品のアップデートもスピーディーなことが特徴である。


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