2024年冬CCS特集:SciY(ブルカー)

システム間の連携を強化、合成経路予測機能も提供へ

 2024.12.03−SciYは、ブルカーのインテグレーテッド・データ・ソリューションズ(IDS)事業の総合ブランド。ラボのデジタル化プラットフォームと、研究から開発、製造までのソフトウエアソリューションを提供している。とくに、科学機器と自動化装置を合わせて、人工知能(AI)対応のデータ駆動型デジタル環境に統合できることが強みで、買収や提携を積極的に進めてソリューションを強化している。

 SciYは、Mestrelab Research、Arxspan、Optimal Industrial Technologies、Optimal Industrial Automation、LOGS、ZONTALなどのベンダーの技術やソフトウエアを集積したブランドで、研究室・実験室内の各種機器やシステムをデータソースとし、そこから抽出したすべての情報を共有し活用できるようにするエンドツーエンドのデータライフサイクル環境を実現する。さまざまなソースに対応する700以上のコネクター(40人以上の専任開発者が毎年100以上追加)があり、元データを保管するとともに、利用可能なメタデータを追加してベンダーに依存しない形式に変換(可能であれば標準化)してすべてのデータを取得、新しいデータモデルの概念に基づく自己記述型データ資産として管理する。

 プラットフォームは、さまざまなアプリケーションのハブとして働き、エンリッチされたデータを実験計画や機械学習、ダッシュボード、データ解析、データレイク、オーケストレーション、波形処理・解析などのアプリケーションにオンデマンドで提供、およびフィードバックを得ることが可能。オープンなクラウド環境で構築されるソリューションとなっており、統合型のDMTL(設計・合成・評価・学習)サイクルを回す自動化・デジタル化ラボを実現できる。

 最近では、米アルケミー社と戦略的独占販売契約を締結し、AIで逆合成・順合成解析/合成経路予測を行う「Allchemy」をSciYから提供することになった。文献や特許で報告されていない新規な反応経路に強く、新規物質に対する合成可能性評価や生物活性予測などの機能も備えている。パイロットスケールやコマーシャルスケールへのスケールアップも考慮でき、副生成物を減らしたり、グリーンケミストリーに対応したりするための検討も行える。電子実験ノートのArxspanとの連携が可能。

 また、SciYソリューション間の連携はほかでも強化されており、ZONTAL、LOGS、ArxspanとMnovaとの連携(分析データの統合解析)、ZONTALとCDSとの連携(クロマトグラフィーデータの解析)、Bruker Fourier 80とSynTQの連携(NMRデータ処理の自動化と品質評価)、ChemSpeedとSciYの連携(自動合成装置との連携)などが進んでいる。

 このうち、Mnovaは最新のバージョン15.1がリリースされたばかり。NMRデータをもとに既知化合物か新規化合物かを評価する分子探索機能が追加されたほか、多変量曲線分解能−交互最小二乗法(MCR-ALS)アルゴリズムにより質量分析(MS)純度判定の強化、PythonコードからのMnova関数の呼び出し、自動処理の実行状況を監視するGearsなどの機能が強化された。


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