2025年冬CCS特集:HPCシステムズ

化学反応解析で独自研究、触媒・表面反応で新知見も

 2025.12.03−HPCシステムズは、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)/AI(人工知能)や産業用コンピューティング事業で成長している企業だが、計算化学に長年の経験と蓄積があり、専門的なソフトやサービスを提供する一方、独自の研究にも取り組んできている。とくに、化学反応解析に強みを持っており、その成果を学会や論文で相次ぎ発表している。

 最新の事例では、11月30日から12月5日までボストンで開催されている国際学会「MRS」(Materials Research Society)で、「次世代触媒の反応メカニズムの解明」について発表している。これは、2次元材料のMXene(マキシン)の触媒機能に注目した研究で、単原子をドープすることで触媒活性が変化することをシミュレーションで予測したもの。マキシンと11種類のドープ金属原子をモデリングし触媒活性を比較した。表面反応の機構解析計算には、化学反応経路を自動的に探索する「GRRM with Matlantis」を用いており、今後はこの方法によってMOF(金属有機構造体)を含めたさまざまな不均一系金属触媒の反応性を理解する研究を進めていく計画だ。

 また、「化学反応の連成による流体解析の精緻化」でも成果が上がりつつある。とりわけCVD(化学気相成長法)を対象にし、シリコン表面近傍での材料ガスの気相反応および表面反応を詳細に解析。さまざまな素反応を網羅的に調べることにより、これまでに報告されていることと異なる知見も得られたという。今後は化学反応に関するパラメーターを流体ソルバーに連成させる段階へと研究を進めていく。

 さらに、最近取り組みを開始したのが「化学反応に適した機械学習ポテンシャル(MLP)の開発と応用」。メタ社が開発したオープンソースのMLPである「UMA」を利用したもの。1億件以上の分子構造データを用いて訓練したとされているが、MLPに基づく推論を「GRRM」と連成させて反応経路を探索したところ、誤った答えが出る場合もあった。そこで、正確な化学反応解析が行えるよう、UMAのファインチューニングに取り組んでいる。これも、今後の進展が注目される。

 これらの研究事例は「GRRM」を利用したものだが、このソフトは北海道大学・化学反応創成研究拠点(ICReDD)との共同で製品化されている。すでに300以上の組織で活用実績があり、海外でも注目度が高いという。


ニュースファイルのトップに戻る