2025年冬CCS特集:化学情報協会

MOF研究の専門ツール、AI利用可能なデータ集も

 2025.12.03−化学情報協会は、今年のノーベル化学賞に関係して注目されているMOF(金属有機構造体)あるいはPCP(多孔性配位高分子)を対象にした研究開発に役立つソリューションの提供を開始した。英ケンブリッジ結晶学データセンター(CCDC)がタイミングよく今年4月からリリースしている「CSD-Frameworks」で、MOF/PCPの細孔構造の可視化、細孔分析や構造解析に役立つツールが集約されている。機械学習やデータマイニング用に前処理を施した結晶構造データ集も含まれている。

 CCDCでは、ケンブリッジ結晶構造データベース「CSD」として知られている有機分子性結晶や有機金属化合物の結晶構造データベースだけでなく、創薬、材料開発、インフォマティクスのための研究支援ツールやデータを利用している。化学情報協会では、産業界向けなどの一般ライセンスを取り扱っている。

 製品構成は、結晶構造の検索、分析、理解のための基本ツールを含む「CSD-Core」、新しい医薬分子を創出するためのツールを集めた「CSD-Discovery」、分子集合体を設計するための「CSD-Materials」などがある。これに新しく加わったのが「CSD-Frameworks」で、CSD-CoreとCSD-Materialsから選ばれたツール(MOF Collection含むCSD、Mercury、ConQuest、Hydrate Analyser、Solvate Analyser、Pore Analyser、Powder Pattern、Motif Searchなど)のセットとなっている。MOF/PCP研究に的を絞って、手ごろな価格で利用できることも特徴だという。

 CSDの結晶構造登録件数は今年8月時点で136万件のデータ量を誇り、そのうちの13万4,000件が「CSD MOF Subsets」として用意されている。さらに、今回のCSD-Frameworksではそのまま機械学習に利用できる前処理済みの1万4,000件の結晶構造CIFファイルを「CSD MOF Collection」として利用することが可能。CSDから一定以上の空隙を有する3次元構造抽出し、重複するフレームや溶媒・ゲスト分子を除去、欠損している水素の追加、空間群をP1へ変換などのデータクリーニングを実施している。

 CSD-Frameworksを利用することにより、高度な検索機能を使った目的の構造の抽出、充てん構造の可視化、多孔構造の観察、空隙/細孔の分析、粉末回折シミュレーション、論文や出版物用の高画質画像の出力などを簡単に行うことができる。解析ツールを利用すれば、結晶水や結晶溶媒が多孔内に充てんされる様子を調べ、結晶水または結晶溶媒が占める体積と比率、水素結合の情報を解析したり、水素結合モチーフを分類したりすることが可能。それぞれの細孔の体積、表面積、形状などに関する計算値を得ることもできる。

 化学情報協会では、今年のノーベル化学賞受賞を機に、MOF/PCPに関する研究活動が活性化すると見込み、今回の新ソリューションの採用を積極的に働きかけていく。


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