2025年冬CCS特集:モルシス

生命・材料両分野で実績、創薬研究の新潮流への対応

 2025.12.03−モルシスは、計算化学・情報科学に特化したソフトウエアベンダーとして、内外の多くの開発元と提携してライフサイエンスとマテリアルサイエンスの両分野で研究開発を支援するソリューションを提供している。

 ライフ分野で長年の実績を上げているのが加ケミカルコンピューティンググループ(CCG)の統合計算化学システム「MOE」。創薬分子設計のための包括的な機能を搭載しており、抗体、核酸、ペプチド、抗体薬物複合体(ADC)など、新しく注目される創薬モダリティに対応できる機能を柔軟に盛り込んできている。最近では同社が窓口になって、中国や韓国でもユーザー層が広がっている。

 また、新たな取り組みとして、化粧品などの安全性評価を行うシステムを開発しているMN-AM社が英Lhasa(ラーサ)の子会社となったため、今年9月にあらためて契約を結び、Lhasa製品全体を日本市場で扱うことになった。化学物質の毒性・変異原性・分解物・代謝物・パージ予測、および情報管理のためのインシリコソフトを多数展開しており、製薬業界で豊富な実績があることから、モルシスの製品ラインアップを補完する強力な布陣となりそうだ。

 さらに、来年に向けては、スペインのメドバイオインフォマティクスソリューションズが開発した疾患関連遺伝子&変異データベース「DISGENET」の販売に力を入れる。機械学習と生物学的オントロジーを組み合わせた手法を用いて公共データや学術論文から疾患関連情報を抽出し、専門家によるキュレーションを経てデータをまとめている。疾患と医薬品の関係をゲノムベースで関連付けているので、ターゲット探索やドラッグリポジショニング、オフターゲット分析などの目的で簡単に情報を探すことができる。こうした情報を踏まえることで第1相臨床試験の通過率が高まるとして引き合いが増えているということだ。

 そのほか、独バイオソルヴITの構造ベース創薬(SBDD)統合ツール「SeeSAR」、ケミカルスペース高速探索ソフト「InfiniSee」も人気が高い。数十億あるいは数兆もの超大規模な化合物ライブラリーを現実的に扱える機能を備えており、特別な計算機環境は不要で、普通のPCで利用できることが特徴となっている。

 一方、マテリアル関係では、米マテリアルデザインから提供されている第一原理電子状態計算ソフト「VASP」、オランダSCM社の反応分子動力学計算ソフト「ReaxFF」、ダッソー・システムズの熱力学物性推算ソフト「BIOVIA COSMOtherm」などが好調。なかでも、VASPは「富岳」を頂点とする日本の公的スパコン利用環境であるHPCIにおいて、商用ソフトではトップクラスの利用頻度を誇っている。GPU対応も進んでいるため、GPUの統合が予定されている次期フラッグシップスパコン「富岳NEXT」でも活用されることが見込まれる。

 また、最近では機械学習向けの訓練用データを生成したり、SPring-8などの大規模実験施設の観測データと比較したりする目的で計算化学が利用されることが多いため、実験値と対応できるような計算結果が直接得られるCOSMOthermやReaxFFへの関心が高まっているという。


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