2025年冬CCS特集:シュレーディンガー

ワークフロー機能を強化、要素技術の複合化と自動化

 2025.12.03−シュレーディンガーがもたらす“デジタルケミストリー”革命は、治療薬や材料の発見方法を変革し、未来のイノベーションを現実のものとしている。とくに、分子モデリング&シミュレーションにおけるリーディング企業であり、生命科学と材料科学の両分野で最先端の計算技術を提供。しかし、単なるソフトベンダーではなく、顧客の研究開発の成功確率を具体的に高めるパートナーになることを目標として体制を強化している。

 同社のソフトウエア技術はかなり広範にわたっているため、最近では実際の研究目的に合わせて要素技術をいかに使うか、どう組み合わせるかを主眼としたワークフローの提供に力を入れてきている。

 例えば、医薬分子の結合自由エネルギーを予測する「FEP+」は、精度がきわめて高く、実験値と同列に扱って評価できるため、広く大規模に利用されている製品である。しかし、計算前に精密なタンパク質構造をリファインメントするためにノウハウが必要であり、FEP+の計算自体もパラメーターを最適化するための多くの試行錯誤が必要となる。そこで、これらを支援するためのワークフローが新たにいくつか用意された。まず、タンパク質の活性ポケットにリガンド分子を適切に配置してくれるFEPポーズビルダー、FEP+のパラメーター最適化を自動的に行うプロトコルオプティマイザーなどを提供している。FEP+の利用にはGPU(グラフィックプロセッサー)が必須であり、大量の計算資源を用意する必要もあるため、社内運用が難しいユーザーには「モデリングサービス」として受託研究も請け負っている。FEP+関係だけでなく、広大な化合物空間からヒットを探索するバーチャルスクリーニング、新奇な構造を生み出すデノボデザイン、体内動態や毒性の予測、製剤化に向けての結晶多形予測など、さまざまなニーズに対応できる。

 また、タンパク質−リガンド複合体構造予測では、構造予測と結合親和性予測を統合した人工知能(AI)基盤モデル「Boltz-2」と、誘導適合(インデュースドフィット)解析を行う「IFD-MD」を組み合わせるワークフローを開発している。さらに、タンパク質分解誘導薬(PROTAC)のモデリングをステップバイステップで行うワークフローを提供開始している。

 そのほか、最近のウェビナーで紹介して好評だったものに、タンパク質表面に隠されたクリプティックポケットを探索する機能がある。これは、結合可能な化合物が近づいてきたときに初めてあらわれるポケットで、新しい創薬ターゲットとして注目されているもの。これも「Metadynamics」や「Site Map」などのいくつかの要素技術の組み合わせによって可能になっている。


ニュースファイルのトップに戻る