2025年冬CCS特集:ウェイブファクション

天然物NMR解析で注目、実験化学者向け書籍も予定

 2025.12.03−ウェイブファンクションの日本支店では、分子モデリングソフトの最新版「Spartan'24」の浸透・拡大に力を入れている。春の学会では日本薬学会と日本農芸化学会、秋には天然有機化合物討論会に出展し、新機能をアピールするなどの活動を通して、前バージョンからの更新あるいは新規ユーザーの獲得も順調に進んでいる。

 Spartanは、最新かつ高機能な量子化学計算エンジンを持ちながら、使いやすいGUI(グラフィカルユーザーインターフェイス)を備え、計算結果・解析結果も美麗なグラフィックスでわかりやすく表示される。このため、大学の学部教育や高等専門学校の演習でも利用されるなど、計算化学の初心者から専門家まで幅広い層に支持される存在となっている。Linux版は無制限の並列処理が可能であり、本格的な量子化学計算に挑むユーザーも少なくない。

 とくに、Spartan'24の目玉機能が「DFT(密度汎関数法)を利用した化学シフト計算機能」。Spartanのヘビーユーザーである弘前大学・農学生命科学部分子生命科学科の橋本勝教授(天然物有機化学)と共同開発した機能で、複雑な構造を持つ天然有機化合物の構造決定を行うための多階層にわたる計算手順がレシピ化されている。Spartan'24では、負荷の高い計算自体をニューラルネットワークに置き換えて、スループットを格段に向上させる手法も盛り込んでいる。

 橋本教授は、実験化学を展開する若い研究者、大学院生向けのガイドブックとなる書籍を準備中。最近のCCSでは計算内容がブラックボックス化し、計算条件に付随する誤差や限界にユーザーが気づきにくくなり、時には盲目的に計算結果を信じてしまう弊害もあるという。実験化学者が量子化学や統計技術のすべてを把握して計算することは困難だが、考え方を理解することで使いこなすことはできるということを念頭に書かれた本となっている。実際にSpartanを利用しながら天然有機化合物の構造決定に役立てることを主眼に、NMRスペクトル解析への応用を中心にして、円二色性(ECD)スペクトルや旋光度の計算も合わせて解説している。来年秋ごろ出版予定ということだ。同社では、この本を利用するに当たり、Spartan'24のデモライセンスでの無償使用も歓迎だとしている。


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